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帰ってきた4-3-3。偽SBと守備システムの変更を解説。【J1第33節 名古屋グランパス戦】

投稿日:2020年10月22日 更新日:

はじめまして。
マリノスを応援し始めて16年目のnishiです。

普段は、スポーツ関連の会社でエンジニアをさせていただいていたり、Twitterでマリノスに関するデータや情報を発信したりしています。(気になる方はぜひ覗いてみてください。)

現役大学生で、最近までサークルサッカーに励んでいました。
Jリーグはもちろん欧州の試合も結構見ているので、その知見を共有できればと思います。

今回は先日行われた第33節名古屋グランパス戦のレビューです。

①スターティングメンバー

名古屋は4-2-3-1。マリノスは4-3-3。

中盤は機動力の高い和田、天野、渡辺のセット。
名古屋MFの強度を考えると、IHは狭い局面も打開できる選手が適しているので理にかなっています。

そして、キャプテンは畠中。
畠中がキャプテンを務めるのは初めてですが、去年からの活躍やTHE DAYで見られたチームを鼓舞する声かけなどを考えると納得ですね。

前節から8人ターンオーバーし、フレッシュなメンバーで試合に臨みました。

②偽SBの効果

キックオフ直後、久しぶりに「偽SB」が採用されていることに気づきました。
最近はあまり使われていませんでしたが、WGの質が非常に高かった昨年は圧倒的な強さを誇った戦術です。

小池と松原が中央に絞り、ビルドアップに参加する。

偽SBのメリットは、WGの選手をアイソレート(孤立させる)することができること。
相手のDFと1対1の局面を作ることができるので、WGの選手が圧倒的な個を持っていればそこからチャンスが生まれるわけです。

ちなみに偽SBではないですが、川崎戦では三笘がアイソレートしていて、小池との1対1から川崎がチャンスを作るという形が何度も見られたと思います。
トラウマです。

マルコスとエリキは中央の方が活きるので偽SBを採用していなかったのですが、1対1で剥がせる松田とクロス精度の高い水沼には相性抜群。
特に、松田は普段よりゴールを意識したプレーができるようになっていたと思います。

そして、偽SBによるメリットはもう一つあります。
それがこちら。

開始1分のファーストシュートが生まれるまで。

配置で迷わせて中盤で浮く選手を作る。

この試合で目立っていたと僕が感じたのは小池。
加入直後は迷いながらポジションを取っており、中盤の選手がサポートで落ちてしまうことがありました。

しかし、この試合では小池がビルドアップに積極的に参加し、IHの選手を高い位置に保つことができるようになりました。
サイドに流れた天野から中に位置を取った小池に当てて、FWへパスという光景は何度も見られたかと思います。

ちなみにですが、普段SBをやっている選手が中盤に入るのはものすごく難しいことです。
今までは180°しか見なくてよかったけど、偽SBは全方位見えなければいけませんから。
しかも、実際にピッチに立つとかなりのスピードで背後から狙われると思います。

マリノスのサイドバックたち、すごい。(笑)

④追いすぎない守備

「高い位置でボールを奪ってショートカウンターで決めきる」というのが昨年終盤の得点パターンでした。
ところが、今年はハイプレスをかけてもなかなか奪えず、前線の選手を一気に剥がされてしまうというシーンが目立っています。

昨年できたのに今年はなぜできないのか。それには2つポイントがあると僕は考えています。
この2つのポイントというのは、「身体的な影響」と「Jリーグのトレンド」です。

まず、1つ目の「身体的な影響」とは何かというと、選手の特徴や疲労の蓄積のことを指しています。

昨年は、マテウス、エリキ、仲川というスピード、敏捷性が共に優れたトリデンテでした。
しかし、今年はマテウスがレンタルバックし、仲川は怪我に悩まされています。さらに、追い討ちとなるのが過密日程。
単純にスプリントするのは疲れていてもできるのですが、切り返しや細かい動きが多くなるとなかなか選手の体はついて行かなくなります。

そして、2つ目の「Jリーグのトレンド」とは具体的に言うと、低い位置から丁寧にビルドアップするチームが増えていることです。

昨年までは、詰まったら蹴ってくれる相手が多かったため、そこでボール奪取し再び攻めることができていました。
しかし、今年はGKでもしっかりパスを繋げる選手が増えたので、なかなか蹴ってはくれません。

この2つの要因が重なった結果、左右に揺さぶられて前線の選手が一気に剥がされていたわけです。

ところが、今回は守備において、「追いすぎない」という選択をしていました。
どのように守っていたかというと、「4-1-4-1の形でエジガルが片方のCBを切りながらプレス。他の選手にパスが出た場合、付近の選手が緩くプレスをかける。」という感じです。

4-1-4-1で守り、緩めにプレスをかける。

しかし、ずっとこの形で守っていたわけではありません。
取れると判断したら連動してしっかりとプレスをかけていました。

特に、それを感じられたのが56分の水沼のプレー。
カバーシャドウ(プレスによって背後の選手へのパスコースを消すこと)でCBとSBを遮断し、SHで取り切ったのは素晴らしいプレーでした。

このくらいの守備バランスの方が現実的かつ理想かもしれないですね。

⑤決定機に絡むIH

おそらくここは色々な記事で触れられている部分だと思うので簡潔に。

天野は、何度もシュートを放ってゴールを脅かしただけでなく、相手のGKとCBの間に鋭いボールを入れるなど相手にとって嫌なプレーを90分間できていたと思います。
先ほども触れましたが、時にはサイドに流れるなど相手を迷わせるポジショニングも良かったですね。
本当にゴールだけ決めれば完璧でした。だけってなんだ。(笑)


そして、何と言っても渡辺皓太。
ダイアゴナルランからの左足ゴールも見事でしたが、一番驚いたプレーは11分のミドルシュート。
トラップの瞬間を相手が狙っていたのですが、相手のプレスをしっかり見て、それを外せる、かつシュートを打ちやすい場所にトラップ。
そこからあの無回転ミドルです。
えげつない。ぜひ見返してみてください。


昨年4-3-3を採用していたときに足りなかったのはIHのゴールなので、二人の活躍を見ると「進化した4-3-3」に期待したくなりますね。
ミドルシュートで点が取れるようになると、ブロックを敷く相手は前に出て来ざるを得なくなるので尚良いです。

⑥復活の朴一圭

これは正直書くか迷いましたが、TLであまり見かけなかったので書かせてください。(笑)

パギが怪我をしてから梶川が先発の座につき、復帰してもそのまま梶川がファーストチョイスでしたよね。
僕も梶川の成長にはすごく驚いて、「これは梶川がスタメンに定着するのでは?」と思っていました。
しかし、昨日の試合を見て、パギのビルドアップ能力の高さに驚きました。

象徴的だったのは、前半1分のプレー。

朴のプレス回避からファーストシュートが生まれた。

GKがここ通します?しかも、開始1分。(笑)

そして、このプレーが最初の水沼のシュートにつながっています。
その後もドリブルで運んで相手を引きつけてからパスを出したり、ライン上でボールを掻き出してしっかりセービング能力の高さを見せたり。
完全復活でした。

高丘も加入してGK争いは熾烈になりましたが、全員で高め合ってほしいですね。

⑦まとめ

色々と書かせていただきましたが、最後に言いたいのは選手は型にとらわれていないということです。

偽SBにしても、追いすぎない守備にしてもセオリーはあれど、結局そうしている理由は「そこにスペースがあるから」であるし、「しっかりと奪い取るため」であります。
そして、今季加入した選手たちが今回の試合でそれを完全に理解していると感じることができました。
今後のリーグ戦でしっかり勝ちという結果を積み上げて、ACLは絶対に獲りたいですね。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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