
一時期話題になっていたカンセロロールって何?どのような効果があるの?実際のプレー動画も見てみたい!
本記事では、このような方に向けてカンセロロールについて分かりやすく解説していきます。
目次
それではさっそく見ていきましょう。
カンセロロールとは?
カンセロロールとはその名の通り、マンチェスター・シティのSBジョアン・カンセロに与えられる役割のことです。
ビルドアップ時には内側に絞ってボランチの選手のようにプレーしたり、敵陣での攻撃ではIHの選手のようにハーフスペースにポジションをとったりします。
また、通常のSBと同じようにサイドにポジションを取ることもあるため、カンセロを捕まえることはとても難しいです。
アラバロール、偽SBとの比較
カンセロロールに似た戦術として、アラバ・ロールと偽SBというものがあります。
アラバ・ロールはバイエルンのSBであるダヴィド・アラバがビルドアップで内側にポジションを取る戦術です。
そして、「アラバに限らずにその役割を行わせよう」ということで生まれた戦術が偽SB。
偽SBは片方のSBが絞るだけでなく、両方のSBが絞ることもあります。
つまり、偽SBはアラバ・ロールと呼ばれる動きも含んでいることになります。
カンセロロールは偽SBの進化版
冒頭で解説した通り、カンセロロールもビルドアップ時に中盤に参加するため偽SBの一種です。
しかし、カンセロロールは敵陣での攻撃にも積極的に関わっていくという点で、偽SBの進化版であると言えます。
カンセロロールによる可変システム
カンセロロールと言うとカンセロ1人のポジション移動による戦術のように思えますが、実際はカンセロに合わせてチームメイトがポジションを変えたり、チームメイトの動きに合わせてカンセロが移動したりしています。
ここでは、
- ビルドアップ
- 敵陣での攻撃
の2つに分けて可変システムを紹介します。
ビルドアップ
ビルドアップにもいくつか形はありますが、ここでは代表的な形として3-2-2-3を紹介します。
カンセロがボランチの位置にポジションを取り、逆のSBが最終ラインに加わることにより、4-3-3から3-2-2-3へと変化します。
このとき、ハーフスペースにポジションを取っていたIHの選手は、サイドに開いてボールをもらいにいきます。
この動きによって、IHをマークしていた選手は
- ①IHをフリーにさせない
- ②カンセロへプレッシャーをかける
- ③WGへのパスコースを塞ぐ
という3つの対応で迷いが生じるため、どこかにスペースができるのです。
さらに、カンセロはIHにパスを出した後、IHが空けたスペースに侵入していきます。
このような巧みなポジションチェンジを繰り返すことによって、シティの選手たちはビルドアップを成功に導いています。
敵陣での攻撃
シティの敵陣での攻撃には、「ライン間に5人の選手を配置する」というポイントがあります。
そのため、基本的には2-3-5のようなフォーメーションになります。
そこからカンセロはハーフスペースで得点に絡んだり、ポジションチェンジによってサイドからクロスを供給したりします。
ハーフスペースで得点に絡む
2-3-5のようなフォーメーションになったとき、カンセロは基本的に2列目のハーフスペースにポジションを取ります。
普通の偽SBがこの位置でパスを受けるのは攻撃のサポート的な意味が強いですが、カンセロの場合はここから高精度のクロスや意表をつくパスでチャンスを作ります。
IHの選手がサポートで2列目に下がったら、自身が飛び出していくこともありますね。
また、もう少し高い位置まで相手を押し込むことができていれば、左足でシュートまで持っていきます。
まさに、才能のあるトップ下の選手がいるようなイメージ。
SBなのにこれができてしまうカンセロの技術やセンスは本当に素晴らしいです。
サイドからクロスを供給
カンセロはWGの位置が空いていたら、そこにポジションを取ることもあります。
要するに、普通の攻撃的SBのような動きもできるということです。
カンセロは足技に長けているので、1対1ならしっかりと剥がしてクロスを供給することができます。
以上のように、カンセロがビルドアップ時にはCH、IHとしてプレーしたり、敵陣での攻撃ではCH、IH、WGとしてプレーしたりすることでそれぞれの場面に最適なポジションバランスを保つことができているのです。
カンセロのプレーを見てみよう
それでは、実際にカンセロのプレーを見ていきましょう。
プレス回避
When asking youngsters to ‘build up from the back’ it’s important to remember that “what is tactically feasible must be technically possible” – ensure they get repetitive practice of their 1v1 1v2 2v2 2v3 skills / tactics in small sided games like Cancelo & Gündogan did as kids pic.twitter.com/EgUbW7Rrj3
— Paul McGuinness (@Paulmcg8) February 8, 2021
こちらの動画は中盤ではなく、SBとしてビルドアップに参加しているシーンですが、カンセロのプレス回避能力の高さがよく分かります。
激しいプレスを強みとしているリヴァプールの選手たちに囲まれても、冷静に味方を探してコンビネーションでプレスを回避しました。
このような高い足元の技術や状況判断能力があるからこそ、カンセロロールは成り立っているのだと分かりますね。
ハーフスペースからのクロス
カンセロのクロスにドンピシャリ💥
反撃の狼煙を上げたフォーデン🔥💙⚽️ @PhilFoden
🔷 #ManCity @Surepic.twitter.com/zBTvHT4yBw— Manchester City (@ManCityJP) January 25, 2021
先ほど解説した通り、前線に5人の選手がいるので2列目のハーフスペースにポジショニングしています。
ここからGKとDFの間に完璧なクロスを供給。
シティは今までこのタスクをデ・ブライネが担っていましたが、SBのカンセロができるようになったのはより厚い攻撃を行う上でとても大きいです。
左足でのゴール
右サイドバックの常識を覆す😲
カンセロのゴラッソ☄️💙🔷 #ManCitypic.twitter.com/3Avt9v38bD
— Manchester City (@ManCityJP) January 28, 2021
相手をかなり押し込んでいるので、カンセロはペナルティエリア手前にポジションをとっています。
ここまでの高さにくるとアシストだけでなく、ゴールも狙いにいきます。
左足のキック精度も非常に高いカンセロは、GKの届かない左上隅にしっかりと決め切りました。
サイドを抉ってクロス
相手を翻弄する💫
カンセロの連続ターン⚽🏃♂️💙🔷 #ManCity pic.twitter.com/H7e1N0MlnB
— Manchester City (@ManCityJP) October 19, 2020
こちらはカンセロがサイドにいるときのプレー。
連続フェイントで対面の選手を剥がした後に、カバーの選手の股間を通すクロスを上げました。
このように、カンセロはWGの位置にいても非常に質の高いプレーができます。
今後のカンセロに注目
以上、カンセロロールとそれを可能にするカンセロの能力の高さについて解説していきました。
カンセロの弱点であると言われていた守備に関しても最近は改善が見られており、よりレベルの高い選手に成長しているように思えます。
28歳とピークに差し掛かった年齢なので、多くの大会で活躍するカンセロを見たいですね。
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今回はこれで以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。