
偽サイドバックって何?有名な選手やメリット・デメリットを知りたい!実際のプレーも見てみたい!
本記事では、このような方向けに偽サイドバックについて解説していきます。
目次
それではさっそく見ていきましょう。
偽サイドバック(偽SB)とは?
偽SBとは、普通はタッチライン際にポジションを取るSBが、中央に絞ってビルドアップに参加することです。
現在マンチェスター・シティの監督を務めるペップ・グアルディオラがバイエルン・ミュンヘンの監督をしていたときに開発した比較的新しい戦術になります。
偽SBはアラバ・ロールから生まれた
偽SBは、アラバ・ロールという戦術が進化したものです。
アラバ・ロールとは、片方のSBのみが中央に絞るもので、こちらもペップがバイエルン時代に生み出した戦術です。
左サイドバックのダヴィド・アラバがこの役割をこなしていたことから、「アラバ・ロール」と名付けられています。
このアラバ・ロールを両方のSBで行おうということで、偽SBが生まれました。
偽SBとして有名な選手
偽SBの戦術を用いるチームとして有名なのはマンチェスター・シティです。
ここでは、マンチェスター・シティで偽SBとして活躍するジンチェンコについて紹介していきます。
記事後半では、偽SBとして有名なカンセロやアラバなどのプレーも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
オレクサンドル・ジンチェンコ
ジンチェンコは元々MFの選手でしたが、マンチェスター・シティでSBにコンバートされました。
そのため、足元の技術が非常に優れており、中央でもプレーする必要がある偽SBに適した選手であると言えます。
動画を見ても分かる通り、内外をうまく使い分けながらポジショニングすることで、相手を惑わしながらチャンスを作り出しています。
偽サイドバックのメリット
偽SBのメリットには、
- サイドで1対1を作りやすい
- 中央で数的優位が作れる
- カウンターで中央を使われづらい
という3点があります。
それぞれを解説していきます。
サイドで1対1を作りやすい
SBが中央に入ることで、相手のSHがSBを警戒して中央よりにポジションを取るようになります。
そうすると、WGへのパスコースができ、相手のSBと1対1の状況(アイソレーション)を作り出せるのです。
この1対1で勝利するとビッグチャンスが生まれるので、偽SBを使うチームはWGにスピードのある選手やドリブルの上手い選手を起用します。
中央で数的優位が作れる
SBが絞ることで、ミドルサードにおいて数的優位を作ることができます。(画像の円で囲ったエリア)
先ほどはサイドで攻撃しやすいと説明しましたが、人数の集まる中央でも細かいパスワークがしやすくなるというメリットがあります。
ただし、狭いエリアに多くの選手が集まるので、偽SBとなる選手には高い足元の技術が求められます。
カウンターで中央を使われづらい
中央に人数が集まるため、カウンターを受ける際に中央を使われづらくなります。
ここまでは攻撃面でのメリットを紹介していましたが、ペップはどちらかというとこのようなリスクマネジメントの意味で偽SBを採用していたようです。
このように、偽SBは守備面においてもメリットがあるのです。
偽サイドバックのデメリット
偽サイドバックのデメリットは、
- サイドの広大なスペースを使われる
この1点です。
サイドの広大なスペースを使われる
先ほどはカウンターで中央を使われづらいことをメリットとして挙げましたが、逆にMFから下の選手は全て中央に集まっているのでサイドはガラ空きになってしまいます。
そうすると、相手は広いサイドのスペースを使うことができるので、簡単に攻め入られてしまいます。
偽SBシステムを使うことで圧倒的なボール支配が可能になりますが、このようなリスクがあることは頭に入れておかなければなりません。
※動画は該当シーンから再生されます
【動画あり】偽サイドバックの動きを見てみよう
ここでは、実際に動画を見ながら偽SBの動きを理解していきましょう。
Jリーグの横浜F・マリノスは偽SBを使うチームとして有名なので、今回はマリノスから2つのシーンを取り上げました。
また、アラバ・ロールも偽SBの一部として、1つの動画を取り上げました。
アラバ・ロールを見てみよう
まずは、偽SBの元となったアラバ・ロールの動きを先に見てみましょう。
こちらの動画は、ビルドアップから映されているのでより選手の動きが分かりやすいです。
バイエルンの27番アラバに注目してください。
バイエルンはボールを持った時、CB2人とアンカーの選手を底に置いています。
そして、冒頭で解説した通り、右SBは高い位置を取りますが、左SBのアラバは中央に位置してビルドアップに参加。
これにより、個の力がある左WGのリベリーに広いスペースを与えることができています。
相手を惑わせる偽SB
マリノスの左SB、ティーラトン(背番号5)に注目してください。
左サイドにボールが渡ったとき、ティーラトンは中央にポジションしていますよね。
これがまさしく偽SBの動きです。
WGの位置にいる選手はしっかりと外に開き、相手のSBと1対1になっています。
DFはマークに迷う
この配置により相手の2列目の背後にスペースができたので、そこに偽SBが走り込みボールを受けます。
そして、マルコス(背番号9)に一度ボールを預けると、相手のSBとCBが偽SBに気を取られていたので、WGの位置で待っていたノーマークの選手が抜け出しました。
これぞ偽SBという崩しです。
中央で数的優位を作った後に、サイドに張っている選手を使い、最後は中で押し込みました。
偽SBの本質はスペースを有効に使うこと
今回は右SBの和田(背番号33)に注目してください。
動画の開始時点で、中央にポジションを取っているだけでなく、かなり高い位置にいます。
これは、和田が攻撃的な選手だというわけではなくて、スペースがあるからこの位置にいるのです。
相手の中央に大きなスペースがあるのに、SBだからといって中央の高い位置には出ないのはもったいないですよね。
スペースがあるから動く
中央の喜田(背番号8)にパスが出た瞬間に、偽SBの和田は相手DFとMFのライン間に動き出します。
そして、良い位置でパスを受けてゴールをアシスト。
このように偽SBは形式として行っているのではなく、スペースがあるからそこに動くというのが本質です。
新たな偽SB、カンセロロール
カンセロロールとは、マンチェスター・シティのSBジョアン・カンセロに与えられる偽SBとしての役割のことです。
カンセロはこれまでに解説したようにビルドアップで内側にポジションを取りますが、それだけでない、より攻撃的な役割も任されています。
そのため、カンセロロールは偽SBの進化版であると言えます。
カンセロロールの一例を紹介
攻撃的な役割も色々ありますが、ここではハーフスペースから得点に絡む役割を紹介します。
カンセロのクロスにドンピシャリ💥
反撃の狼煙を上げたフォーデン🔥💙⚽️ @PhilFoden
🔷 #ManCity @Surepic.twitter.com/zBTvHT4yBw— Manchester City (@ManCityJP) January 25, 2021
相手を押し込んでいるとき、カンセロはハーフスペースにポジションを取ります。
ここまでは偽SBと変わりませんが、違うのはボールをもらった後にどうするかです。
普通の偽SBはボールを受けるとWGの選手に預けるなど、近い選手に簡単なパスを通すことが多いです。
しかし、カンセロは自身の技術と攻撃センスの高さを活かし、この位置から一気にチャンスを作り出したり、得点したりします。
紹介した動画はあくまで一例で、ハーフスペースにポジションを取る以外にも前線の枚数が揃っていなかったら飛び出すこともありますし、普通のSBのようにWGの位置にポジションを取ることもあります。
偽SBを理解して観戦を楽しもう
偽SBについて理解できたら、実際に試合で使われている場面を発見していきましょう。
「この場面でここに動いたから上手く攻めることができた」ということがわかってくると、サッカー観戦がより楽しいものになると思います。
今回はこれで以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
参考