2020シーズンのリーグ戦を9位で終えた前年王者のマリノス。
総得点数は69点とリーグ2位だったものの、守備を固めた相手を崩しきることができず、敗戦してしまう試合が目立ちました。
その原因の一つとして、挙げられるのが「WGの動きの質」です。
本記事では、
「マリノスが昨年、思い通りに崩すことができなかった理由は?」
「マリノスのWGが活躍するには、何が必要?」
といった疑問を持つ方々に、ヒートマップや映像を用いて、筆者の考えをお話ししていきます。
目次
- ①マリノスのWGは外に開きすぎ?
- ②トップレベルの選手は「斜め」に仕掛ける
- ③マリノスのWGに求められるダイアゴナルラン
それではさっそく見ていきましょう。
①マリノスのWGは外に開きすぎ?
まずは、マリノスの選手のヒートマップを見ていきましょう。
昨シーズンから所属しており、今季もWGを任されるであろう
- 前田大然
- 仲川輝人
- 水沼宏太
の2020年Jリーグでのヒートマップを取り上げました。
前田大然
サイドの深い位置をとっている
昨年、期待通りの結果を残すことができなかった前田大然。
ヒートマップを見ると、マリノスのWGらしく、外に大きく開いていることがわかります。
そして、注目すべきは青い円で囲っている部分で、アタッキングサードに入った前田はこのエリアを頻繁に使っているようです。
しかし、このエリアはプレーの選択肢が相当少ないように感じます。
考えられるプレーはここからニアゾーンに向かってドリブルをするか、クロスを上げるかですが、ゴールラインにかなり近いためドリブルをするスペースはほとんどなく、クロスも読みやすいためDFとしては対応しやすいです。
能力の高い前田が昨年がパッとしなかったのは、このポジショニングが原因だったと考えられますね。
仲川輝人
ペナルティライン手前もよく使う
一昨年得点王の仲川輝人も、昨年は激しいマークに苦しめられました。
先ほど紹介した前田も次に紹介する水沼もそうですが、やはり基本的には大外にポジションをとっていることがわかります。
仲川のヒートマップで特徴的なのは、ペナルティライン手前のエリアも少し濃くなっていること。
こちらにポジションをとることに関しては、ドリブルとスルーパス、そして、仲川の得意な左足のシュートも活きるエリアなので効果的ですね。
しかし、前田同様、選択肢の限られてしまうコーナー付近のエリアにも頻繁にポジションをとってしまっています。
水沼宏太
ニアゾーンをとれている
昨年加入した水沼宏太は、3ゴール10アシストと素晴らしい結果を残しました。
水沼のヒートマップを見ると、前田よりゴールに近く、仲川より深いニアゾーンをとることができていることがわかります。
このエリアは、シュートやパスのスピードに相手はほとんど反応することができないのでベストな位置であると言えますね。
また、コーナー付近のエリアがあまり濃くなっていません。
これは水沼がアーリークロスを武器にしていることも関係していると思いますが、どちらにしろ前田、仲川と比べるとゴールにより直結しやすいエリアでプレーできているという証拠です。
しかし、3ゴールなのでもっと得点を取ることのできるよりゴールに近い位置取りが必要かもしれないですね。
WGが外に開きすぎていた
以上、3選手のヒートマップを見ていきましたが、昨年上手く崩せなかった原因として「アタッキングサードに入ってもWGが外に開いていること」が考えられます。
マリノスの戦術上、WGが外にポジションをとるのは良いことなのですが、やはりゴールを奪うことが目的なので、アタッキングサードではもっとゴールに近いエリアでプレーすべきだと考えます。
②トップレベルの選手は「斜め」に仕掛ける
それでは、他のWGのヒートマップはどのようになっているのでしょうか?
今回はマリノスの提携先であるマンチェスター・シティの
- フォーデン
- サネ
- スターリング
のプレミアリーグでのヒートマップを紹介します。
サネは現在バイエルン所属ですが、シティに所属していた18/19シーズンのデータを取り上げています。
フォーデンとスターリングは、20/21シーズンのデータになります。
フォーデン
フォーデンのヒートマップもマリノスの選手と同様、ペナルティエリアより後ろの場合は大外に開いていますね。
しかし、注目すべきはアタッキングサード。
大外からゴールに向かって曲線を描くようにヒートマップが濃くなっていることがわかります。
サネ
サネの場合はコーナー付近が濃くなってはいますが、ニアゾーンもよくとれていることがわかりますね。
仲川の時も説明しましたが、ペナルティライン手前も濃くなっているため、相手の嫌がるエリアでプレーできています。
スターリング
スターリングは左WGと右WGで少し特徴が違います。
左WGの場合は大外からゴールに向かう広範囲なエリア、右WGの場合は大外からニアゾーンに向かうエリアが濃くなっています。
これは右利きであることが原因だと思われますが、どちらにしろゴールに近いエリアに仕掛けることができていますね。
ヒートマップが曲線を描く
シティの3選手に共通して言えるのは、ヒートマップが大外からゴール、もしくはニアゾーンに向けて曲線を描いているということです。
アタッキングサードにおいて、斜めに仕掛けることによってよりゴールに近いエリアでプレーすることができます。
③マリノスのWGに求められるダイアゴナルラン
以上の比較から2021年のマリノスのWGには、ダイアゴナルランの動きが必要だと考えました。
ダイアゴナルランとは?
ダイアゴナルランとは、斜めに走る動きのことです。
先ほどまで説明してきた通り、外から内に向かってダイアゴナルランをすることでよりゴールに近い位置でプレーすることができます。
また、マークを外しながら背後を取ることができるため、相手DFは対応しづらい動きになります。
WGのダイアゴナルランの例
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シティの鮮やかな連携👏👏
\✔ストーンズの正確なキック
✔ジンチェンコのランニング
✔スターリングとデ・ブライネのコンビネーション
✔落ち着いてコントロールからシュート🏆FAカップ3回戦
🆚マンチェスター・C×ロザラム
📺https://t.co/u4BaoHt81QでLIVE配信#FAカップも観るならDAZN pic.twitter.com/sZgxZwm2FU— DAZN Japan (@DAZN_JPN) January 6, 2019
こちらの動画のスターリングのダイアゴナルランはわかりやすいですね。
パスを出すと同時に、マーカーの背後を取りながら斜めに走り出すことで、ゴール付近でフリーの状態を作りました。
回数を増やそう
とは言っても、マリノスのWGもダイアゴナルランをしていないわけではありません。
昨シーズンも水沼選手が斜めに走ることでマークを外してゴールを決めています。
↓該当シーンから再生されます。
ただこういうシーンが多いかと言われると、そういうわけではないと思います。
ですので、今シーズンは意図的にダイアゴナルランを行う回数を増やすといいのではないかと筆者は考えます。
おまけ:新加入のエウベルは?
おまけとして今シーズンから加入する左WGエウベルのヒートマップも取り上げます。
トップ下でもプレーするとのことなので中央のエリアが濃くなっているのかもしれませんが、スターリングのヒートマップと少し似ている印象。
マリノスとしてはアタッキングサードまでは大外にいてほしいので、エウベルの戦術理解度が試されます。
また、カットインしていくタイプなので、コーナー付近のエリアが濃くなっていないのは良いことですね。
ただ、バイーアのチームスタイル的にゴール付近のデータがあまり取れていないみたいなので、ゴールに近いエリアで適切なポジションを取れるかはまだ未知数です。
2021年はより多くの得点を
マリノスのWGの動きについて考察していきました。
2021年の2ndユニフォームのデザインにはダイアゴナルラインも採用されているので、ぜひマリノスの選手には斜めの動きを期待したいです。
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今回はこれで以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。